スノーボードでジャンプ:スピンの着地3|スノボーのスー

スピントリックの着地のやり方(その3)

スノーボードでジャンプ台の飛び方(理論、知識編)。
ここではスピントリック(フラットスピン)の着地のやり方を詳しく説明していきます。

スピントリックの着地のやり方(その2)の続きなので、まだ読んでない方はそちらからチェックしてください。


8.着地に合わせるときの重心の位置

身体のヒネり方はスピンの着地(その2)までで説明した通りなのですが、実践するためには着地に合わせる時の(着地直前の)重心位置が重要になります。

このことを、「スイッチスタンスでオープン着地をするときに、着地前90度の時点から身体をヒネってスノーボードを着地に合わせる場合」を例として説明していきます。

着地するまで残り90度のときは、ランディング(進行方向)に対してスノーボードが横を向いています。

<スイッチスタンスでオープン着地の着地前90度>


ここから、右足を前に出し、左足を後ろに引いてスノーボードを着地に合わせます。



1)重心の位置が真ん中の場合
着地に合わせるために両足を同じ分だけ回す必要があります。
これが基本です。



2)重心の位置がちょっと後ろに(ヒールエッジ寄り)ある場合
右足を大きく(遠くに)、左足は小さく(近くに)回す必要があります。


着地しやすい姿勢になるために、右足は伸ばして、左足は曲げてスノーボードを着地に合わせるのは、これまで説明している通りです。

伸ばして回せば大きく回りますし、曲げながら回せば小さく回るので、この動き方は理にかなった動作になります。
そのため動きやすく、着地にスノーボードを合わせやすいです。

もちろん後ろに行き過ぎるのはダメですが、ある程度ならスノーボードを合わせる動作の妨げにはなりません。


3)重心の位置がちょっと前に(トゥエッジ寄り)にある場合
右足を小さく(近くに)、左足は大きく(遠くに)回す必要があります。


となると、右足は「伸ばしながら小さく」回し、左足は「曲げながら大きく」回す必要が出てきます。
しかし、このような動作は矛盾する動きのため、着地に合わせようとしても無理が生じます。

そのため、着地にスノーボードを合わせる動作が非常に難しく、スノーボードの向きだけ合わせられたとしても、安定した姿勢で着地することは望めません。


これらのことから、スノーボードを着地に合わせる場合、重心の位置は真ん中より後ろにあることが重要であることがわかると思います。

着地時の重心の位置の「着地時の理想的な重心の位置」で説明しているように、着地時の理想的な重心の位置は「ちょっと後ろ」なわけですから、「ちょっと後ろ」重心がいかに安定した着地をしやすいかわかると思います。

このことが、スノーボードを合わせる動きがスムーズに出来ない原因となっている場合があるので、身に覚えのある人は、合わせに行く時の重心の位置を見直してみてください。

着地直前の重心の位置を変えるだけで、飛躍的に着地の安定性が上がる場合もあります。


9.スピン軸の動き

スピントリックの軸の作り方も着地の安定性に影響します。

当たり前のことだと思うかもしれませんが、意外と理解できていない人が多いです。
このことが盲点となって上達の妨げになっている人が結構いるので、説明しておこうと思います。

フラットスピンの回転軸の動きを横から見ると、以下の図のような動きをします。

<フラットスピンの軸を横から見た図(図1)>


(「フラットじゃないじゃん」て思うかもしれませんが、「抜け」と「着地」は地形がナナメなので、抜け直後と着地直前は斜めになります。この「抜け直後の軸→フラットスピンの軸→着地直前の軸」の動きをスムーズにつなげるとこのような動きになります。)

スピン軸に「正しい軸」というものは無いのですが、ここでは、図のような「基本に忠実な」フラットスピンの軸を例にして説明してきます。


例えば、B/S360をマスターしている人がB/S540の練習をするとします。

理論上はB/S360プラス180度回ればB/S540となります。
言葉ではこのようになりますが、そう単純には行きません。

ジャンプ前半にB/S360をして、その延長でB/S540に持って行くイメージをすると、スピン軸を間違ってしまうことがあります。

下の図を見てください。
B/S360では図のような綺麗な軸の動きができるとします。

<B/S360の軸の動き>


このような人がB/S540を狙って、「B/S360の延長」で回そうとすると図のような動きをしてしまうことがあります。

<失敗したB/S540の軸の動き>


これは、360度までのスピンが、いつものB/360と同じように回っているので、B/S360回った時点で着地の斜度に合うように軸が傾いちゃっているわけです。

言い方をかえると、360度回った時点で着地の斜度に合わせるクセがついているんですね。
そのため、残りの180度を回る間にもっと軸が倒れてしまうんです。

イメージ通りにスピンしたはずなのに、着地で身体が突っ込んでしまう場合はこのような飛び方をしている可能性があります。

そのため、単純にB/S360の延長でスピンするようにイメージするのではなく、360度回った時点での軸の傾きを再確認することでより正確なイメージを作ることが出来るようになります。

<正しいB/S540の軸>


ここではB/S540を例に挙げて説明しましたが、他のスピントリックにも同じことが言えます。
例えば、B/S720の時の360度回った時点での軸の傾きとB/S540の時の360度回った時点での軸の傾きも違います。

<B/S720の軸だとまた変わる>


回転数が変わっても回転軸の動きは一緒(図1)なので、一部分だけ切り取ると軸の傾きが違うんですね。

このことを理解しておくと、イメージを作るときに混乱しづらくなって、正確なイメージ作りに役立つと思います。

また、一度出来るようになったトリックでも軸の作り方が原因で出来なくなることもあるので、スランプのときのチェック項目にも入れてみてください。


10.重心の入れ換え

回転数を増やすときに、盲点となりやすいことがもう一つあります。

それは、「重心の入れ換え」です。
フラットスピンでは、スピン中、重心の位置(スピンの軸)が移動します。

B/S180を例として説明すると、

1. 抜け:右足の上

2. 90度:少しつま先寄り

3. 180度:少し左足寄り

という具合に、

B/S360を例として説明すると、

1. 抜け:右足の上

2. 90度:少しつま先寄り

3. 180度:少し左足寄り

4. 240度:少しカカト寄り

5. 360度:少し右足寄り

という具合に移動して行きます。

(ただし、ある程度完成度が高い場合です。ある程度の完成度まで達していれば、(意識しているか、意識していないかは別として)「8.着地に合わせる時の重心の位置」を実践している人が多いので、ほとんどの場合このようなスピンをして、着地時の重心位置がちょっと後ろ足寄りになっています。)

他のスピンも同様で、こんな感じに、進行方向に対して常にちょっと後ろに重心が来るように入れ換えながらスピンして行きます。

<例えば、B/S360の軸を横から見ると>


客観的に見て重心位置が移動しているように見えるわけではありませんが、自分を中心に考えると、重心の位置が移動して行っています。

多くの人が深く考えずに、無意識にやっている動作です。

しかし、このことを理解していないと、新しいトリックにチャレンジするときに重心の位置を入れ換えるイメージを作る必要があることに気づかない場合があります。

重心の位置の入れ換えが必要なのにも関わらず、そのイメージが出来ていなければ上達できない原因になってしまいます。

なので、「10.重心の入れ換え」についてもしっかり考慮に入れて、正確なイメージ作りに役立ててください。


といっても、これだけじゃ良くわからないと思うので、もう少し理解を深めてもらうために、ありがちなミスを紹介しておきます。

今回もB/S360をマスターしている人が、B/S540の練習をするときを例にして説明していきます。

まず、B/S360をやるとします。

B/S360の場合は、ちょっと後ろ(右足寄り)重心で着地するために、着地前90度(270度)の時点ではヒールエッジ寄りに重心があります。

<B/S360をやる時の270度時点の重心の位置>


後は、残りの90度を合わせるだけで着地できます。


次に、B/S360の延長とした動きで、B/S540を狙ってみます。

B/S360の延長としてB/S540を狙った場合、前述と同じく270度回った時点でヒールエッジ寄りに重心があります。

<B/S540をねらった時の270度時点の重心の位置>


この時点では、まだ問題は発生していません。

ここから残り270度のスピンは慣れない動きなので、理論を理解していないと、重心の位置を入れ換えるイメージが出来ていない場合があります。

良くあるミスが、270度回った時点の重心の位置を中心にスピンしようと動いてしまうことです。

<270度時点の重心の位置を中心にスピンしてしまう>


重心の位置(スピン軸)を入れ換えるイメージが出来ていなかったため、現時点(270度時点)の重心の位置を中心にして回ろうとしてしまったんですね。

しかし、270度回った時点の重心の位置を中心としてスピンするのは自然な流れではないので、回転軸が崩れたり、スピンが止まってしまったりします。

もし回ったとしても、450度回った時点でヒールエッジ寄りに重心があることになってしまいます。

<ヒールエッジ寄り重心のままスピンしてしまうと>


こうなると、安定した着地は不可能です。


B/S540を安定した姿勢でメイクするには、450度スピンした時点でトゥエッジ寄りに重心がある必要があります。
そのため、270度の時点から180度回りながら重心の位置をトゥエッジ寄りに入れ換えて行く必要があったんです。

もっと具体的に言うと、

270度:少しヒールエッジ寄り
360度:少し右足寄り
450度:少しトゥエッジ寄り



という具合に動いて行くイメージを作る必要があったんです。

このようなミスが起こる原因は、理論が理解できていないと「1点を中心にして回っていると何となく思っている」ことと「練習すれば身体で覚えられる」からだと思います。

よくわからないうちスピンの練習を初めて、よくわからないままメイクできるようになって、新しいトリックにチャレンジするときに勘違いした感覚でイメージを作っちゃう。という状態になっているんです。

ただ、これを読んで頂いた方はもう勘違いしないと思いますので、新しいスピントリックにチャレンジする時は「10.重心の入れ換え」のことも考慮に入れて、イメージ作りに役立ててください。

なお。

ほとんどのフラットスピンには当てはまることですが、スピン軸の作り方によっては当てはまらない場合もあります。
なので、自分のやりたいスピン軸に合わせて「重心の位置の入れ換え」が必要かどうか判断してください。


参考1

「スピントリックの着地の仕方1〜3」の中で、着地に合わせるタイミングとして、着地前残り90度の時点を例にして説明していますが、「説明するための基準」として残り90度の時点を例に挙げているだけで、すべてのスピンで残り90度の時点を基準にして合わせるのがベストだという意味ではありません。

(残り90度の時点での体勢が良ければ、ほとんどのスピンはメイクできると思いますけどね。)

あくまでも、理論を説明するために仮に設定しただけです。

また、スノーボードの向きが着地前90度だからといって、スピンが残り90度というわけでもない(スノーボードの回っている量とスピン量は必ずしもイコールではない)ので、残り90度のことは「大体の目安」として理解してください。


参考2

「9.スピン軸の動き」と「10.重心の入れ換え」の話は、いわゆる「どフラット」なスピンには当てはまりません。

スピン中の軸が常に重力に対して水平に立っていて、スピン中の重心の位置が常に「ど真ん中」にある状態でのスピンする「どフラット」なスピンの場合は、スピン軸の調整も、重心位置の移動も必要ありません。
ずっと、「同じ軸」、「同じ重心位置」でスピンして行けます。

<「どフラット」なスピン>


しかし、このような「どフラット」なスピンをする人はまれなので、ほとんどの人は9.10.両方のイメージが必要なはずです。


スピントリックの着地の仕方(その4)









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